動物がいる空間に突入する直接飼育①
飼育員の鈴木チキンです。
アイコンを変えてみました。
ラバーチキンです。
こいつはとても優秀な相棒です。なんせ鳴き声が面白い!
発明したい人に会ってハイタッチしたい気持ちです。おそらく陽気な人なのでしょう。それも飛び切り。
僕はこのラバーチキンを海外の露店で購入したのですが、日本への帰りにはザックのサイドポケットにこのラバーチキンをぶっさしてきました。
すると時々鳴き声を上げるんですね。
空港で、クスクス笑われました。
国境を超える破壊力を持っているラバーチキン。
趣味じゃありません。
仕事で使うんです。
イベントなどで始めて顔を合わせるタイミングって緊張しますよね。
そのような時に「アイスブレイク」という導入を行ったりします(アイスブレイクに関しては後日ファシリテーションというカテゴリーで記事にします)。
このラバーチキンはアイスブレイクの時に大活躍!必ず参加者から笑いを生み出します。
ただラバーチキンに鳴いてもらうだけではなく、ちょっとしたアクティビティを実施するんですね。
空気がほぐれてからイベントに投入すると、とてもスムーズです。
もちろん、アイスブレイクをしないでも、時間がたてば場の空気は勝手にほぐれていきます。
それまでの時間がもったいない!今日のイベントではスタートダッシュで空気を和らげるぞ!というときの頼みの綱ラバーチキン。
皆さんも、一羽の相棒をお手元にご準備していただいてもいいのかもしれません。
さて、前置きが長くなってしまいました。
本日は【直接飼育】に関して書いていきたいと思います。
飼育方法の種類
動物の飼育方法には大きく3種類あります。
- 直接飼育
- 間接飼育
- 準間接飼育
動物によってどの飼育方法で行うのかが変わります。
それぞれどんな方法?
直接飼育とは、動物が暮らしている空間に飼育員が入って飼育作業を行う方法ですね。
動物いえでいえば、シカの仲間とか小型・中型の哺乳類とか鳥類とかですね。
間接飼育とは、動物が暮らしている空間に飼育員は入らず、動物を移動させてから動物がいない空間で飼育作業を行う方法です。直接動物とのコンタクトはありません。
ライオンなどの肉食獣など、無理だよね・・・というタイプの動物たちです。
そして準間接飼育とは、基本的には間接飼育と同じ飼育方法ですが、檻越しにトレーニングを行うような接点がある飼育方法です。
キリンやゾウなどで行われていたりします。
個人的には直接飼育をする動物を担当することが多かったので、本日は直接飼育を詳しくご紹介します。
直接飼育のリスク
なんてことでしょう。最初にリスクのお話をするなんて。
でも、ここが一番大切だったりします。
なんせ動物がいる空間に入って作業をするわけですから、リスクが出てくるんですね。
どのようなリスクがあるの?
基本的にはあまりリスクがない動物だからこそ直接飼育が成立しますが、完全に安全なわけではないんですね。
例えば「シカの仲間が繁殖期に突入した」
角が落ちている時期は全くリスクはないんですね。とても平和な顔をして草を食べています。
しかし、いったん角が完成してしまうとガラッと変わります。体重も種によっては100kgをこえる体格になったりもしますので、角で刺されてしまうと大けがで済まされません。
ですので、飼育技術としていくつか必要な能力が出てくるんですね。
動物の状態を作る
動物たちは飼育員の飼育方法によってその状態が変わっていきます。秋口に季節としては冬に向かって準備をしたいのに、えさの量が変わらない。
そうなると動物はどのように変化するでしょうか?
人間も同じですが空腹はイライラの原因になります。動物たちも欲求が満たされないことによって態度が変わるんですね。
そこで飼育員は季節変動や成長ステージ、繁殖期、群れ構成などを考えて、日々の飼育作業に変化を与えていきます。
「これでいこう」とある日決めたものを、ただただ同じ方法でずっとやっていればいいってものではないんですね。
動物が今どのような状態にあるのか、不満があればどうすれば解消することができるのか。
毎日考えて動物と向き合わなければ、巡り巡って自分の危険を作ってしまうことにつながります。
動物の感情を理解する
動物たちはなんせしゃべってくれないので、基本的にはわかりません。
感じ取ることしかできないです。
それでも感じようと思いながら動物と接していると、ぼや~んとわかってくるものです。
行動一つ一つにその意味が隠されています。
怒る感情であれば、威嚇の行動はわかりやすいですね。動物によって変わりますが、「やったるぞ」感が満々です。
わかりやすければそれなりに対処ができるのですが、中にはポーカーフェイスでそろ~っと近づいてきて攻撃してこようとする種もいるので気は抜けません。
特に仔を連れている親個体には気をつけましょう。
仔が遊びで駆け回り、気づいたら飼育員が目の前にいて怖くなって鳴き声を上げる。すると、親を含め、群れ全体で仔を守るために飼育員を取り囲む。
ほんとにあるんですよ。こんな当たり屋みたいな出来事が(ニホンザルの群れ全体に取り囲まれた時は恐かったなぁ~)。
あまり空間に溶け込みすぎず、飼育員としての存在感をある程度出さなければいけないな、とその時に学びました。
それ以外にも
ウキウキしている日もあれば、ダルそうにしていたり、群れであればピリついているのを感じ取ったりします。
それぞれ感じ取ったら、じゃあどうしましょうかね?と考える必要があります。ウキウキしてるのは放っておいて大丈夫です。
動物の感情も毎日変わります。機械ではないので一定ではないのですね。だから、僕たち飼育員はその変化を敏感に感じ取る必要があり、それは自分のみを守ることにつながるということです。
ふむ、長くなってきたので、続きは次回へ
次回は実際に身を守るテクニックをご紹介します。