飼育員の基本的な仕事 掃除
どうも、こんにちは。
飼育員をしています鈴木チキンです。
さて、今日は昨日に続いて基本的な飼育員の仕事をご紹介します。
飼育員は昔、くさい、きたない、きついの3Kとして、「そんなんじゃ将来飼育員になっちゃうよ!」と親が子どもに対して脅し文句として言っていたと聞いたことがあります。
今ではたまに、「子どもが将来飼育員になりたいみたいで・・・」と親御さんから相談を受けたりすることもあり、時代は変わったのかなぁ、と感じたりします。
とはいえ、3Kの要素はそのままです。
が、私自身は、もう慣れっこになってしまってあまりつらく感じることはありません。
そんなきつい、きたない、くさいがダイレクトにぶつかってくる
「掃除」
について本日は書いていきます。
ではいってみましょう。
掃除
そうです。そのイメージする掃除です。そのままです。
飼育員の仕事時間の中で、多くの時間を割く作業ですね。
動物によって多少内容は変わりますが、基本的には
- チリトリと箒で糞や残餌を回収する
- 水で流す
- 水をワイパーで切る
が、基本的な作業です。
動物たちは基本的に、日中は外の放飼場に出ます。その出ている間、夜間に過ごす寝室を掃除するんですね。
夕方になって寝室に収容したら、今度は放飼場の掃除をします。
ただの作業ではあるのですが、動物のことを知るのに実は大切な時間でもあるんですね。
便はお宝
便にはたくさんの情報が詰まっています。
形はどうだろう?量はどうだろう?
便を観ることで、その動物の状態を把握する一つのヒントになります。
そこから今の給餌量は適切だろうか?給餌内容は適当だろうか?しっかりと食べることができているのだろうか?
と考えていきます。
時には、寄生虫が便からでてきて、「あら~」と思いながら獣医さんに相談をしたりもします。
形のいい便が適正量あると、それは動物の身体が健康である証。
それを確認するために便はしっかりと確認しましょう。
もちろん動物だけではなく、排便の際、自分の便もしっかりと確認して、ばっちりの状態で仕事に向かう必要があります。
飼育員は体が資本。体調は万全で望みましょう。
ぐちゃぐちゃの寝室はOK!
また、動物のために「環境エンリッチメント(動物の生活をより豊かにする試み。後日記事にします)」を行って、いろいろな行動を引き出すことができて、結果部屋がぐちゃぐちゃになっていて、「楽しんでもらえたみたいだな!」とうれしく後片付けをしたりもします。
動物園の動物は基本的に選択肢が非常に限られています。
人間であれば、学校が終わってから家に帰ってテレビを観たり、友達と連絡を取ったりやれることはたくさんあります。
でも、動物園の動物たちはそのようなことができないんですね。
後日、環境エンリッチメントの記事でより深く書いていきますが、動物のためにかんきょうえを行って、ド派手に寝室がぐちゃぐちゃになっているのはポジティブな出来事です。
「掃除が大変だ~めんどくせ~」と思うのが人間の心情かもしれませんが、その大変さこそが、動物のために僕たち飼育員が行ってあげることができる唯一のことです。
動物たちにはどんどん部屋を汚してもらいましょう。
作業と仕事
ここで個人的にとても大切にしている考えがあります。
作業と仕事は明確に違う、ということです。
作業と仕事の違いはなにか?
作業+意味=仕事
それは、意味が付随しているかどうかです。
掃除でいえば、作業として行えば、決められたことをそのまま実施することになります。
では、掃除という作業に意味をつけてみるとどうなるでしょう?
掃除の時間をもっと効率的に行って、作り上げた時間を使って動物のためになる試みを行えないだろうか?
掃除に時間はかかるかもしれないけど、類人猿の寝室に新聞紙を山ほど入れてみるのはどうだろう?
掃除がしやすいレイアウトであると同時に、動物が過ごしやすいレイアウトはどのようなものだろう?
そのように自分が行う行動のレベルを変えていくことができるんですね。これは意識一つの違いです。
作業として行ったとしても、それは全く問題がないのかもしれません。
しかし、自分の人生の中の多くの時間を割く労働時間をそんな、ボケっと過ごしていいのでしょうか?
そのような時間の過ごし方で、動物を幸せにしたり、来園者の方に楽しんでもらえるのでしょうか?
ここに関しては今一度よく考えておく必要があります。
今目の前にいる動物たちと本気で付き合うための仕事にすることができる意味を探してみてはどうでしょうか?