飼育員になりたい君へ

動物園の飼育員になりたい君へ

とある動物園で飼育員をしています。いつの日か動物園で飼育員として働きたいと思っている人に向けて書きます。

教育と学習の違いを因数分解しながら動物園でどうするか調べながら考えてみた

本日は、「教育と学習の違いを因数分解しながら考えてみたら僕はやっぱり学習したい」といった内容を記していきます。

 

正直このあたりのことは、現在進行形で勉強中でございます。確信など全くありません。

 

ただ一つ言えることは、楽しくないと「自然は大切」や「動物の将来が心配」っといったことを気づいてもらうことはできないんだろうなぁ~と漠然と考えていて、ではどうやればその気づくお手伝いができるのかな?と日夜お勉強に精を出しています。

 

その中で一つ概念的に捉えるべき「教育と学習の違い」についての整理にチャレンジしていきたいと思います。チャレンジ案件です。

 

大学の専攻は・・・っというより、大学すら行ってない僕としては、まったく手がかりのない段階から、独学&独学で突き進んでまいりました。さて、どこまで行けるのか・・・とりあえず、いってみましょう!

 

 

教育と学習って違うよね

言葉遊びになってしまいそうで、少し恐ろしいのですが、それでも僕は言葉をとりあえず整理するところからいつも考えます。

 

言葉というのは意識しないで使うことが多いのです。しかし、言葉にはしっかりと意味があって、自分の中でその言葉の整理ができるということは、その言葉が意味する行動に対して思考を開始している証拠になると考えます。

 

今回は「教育と学習」を因数分解しながら整理です。

 

主体はどこに?

教育という言葉は「教え育む」という言葉で、学習は「習い学ぶ」という言葉です。英語で表すと教育はstudyで学習はlearnですね。

 

違いについて考えてみると、「主体がどこにあるか」が違っていそうです。

 

教育というのは、例えば学校の先生であったり、イベントの主催者が主体となっている言葉ですね。なんとなく高いところから低いところへ矢印が向かっていそうです。

 

では、学習ではどうでしょう?

 

主体は学習者である生徒や参加者ですね。自ら動いている形で学習者から教材であったり、その学ぶべき対象に矢印が向かっていそうです。

 

整理すると

教育は教育者→学習者(主体は教育者)

学習は学習者→教材(主体は学習者)

という仕組みになっています。

 

少し調べてみると

坪田 信貴さんが才能の正体」という本の中で

徹底的にアウトプットさせると、記憶が脳に定着します。ここでとても重要なことは「自分の口で説明している」ことです。

定着するまでには何度も聞いて、しつこいくらいやります。そこまでやらないと、記憶というのは定着しないからです。記憶が定着するまでにはその子の能力にならないので、そこは積極的に繰り返します。これが「マネジメント」です。

基本的に、新しい知識を「テスト」や「実践」で使えるようになるためには、次のような工程を経ます。

知らない(聞いたこともない)→知らない(聞いたことはある)→わかったつもり(調べて一度は知ったけれど)→わかった(口頭で、理屈も含めてアウトプットできる)→(その知識を使って)一部出来る→(その知識を使って)過不足なくできる。

この前半3つの工程は「教育」が必要で、そのあとは「マネジメント」が必要なのです。

引用:才能の正体 坪田 信貴 幻冬舎

 

こちらは完全に教育学の中の話でありますが、「マネジメント」という横文字が登場しました。マネジメントは組織づくりなどで使われることが多い言葉ですが、教育の分野でも登場です。

 

マネジメントという英単語をそのまま訳せば「管理」や「経営」ですね(ありがとうグーグル翻訳)。組織管理や組織運営を示す言葉ですので、そのまま教育に当てはめていくと教育管理や教室運営(?)ということになりそうです。

 

僕の中で整理していくと

最初は教育者が主体となって学習者に対して「教育」を行い、学習者がわかり始めた段階から主体が学習者となって取り組む、その取り組みを教育者がマネジメントしながら支援していく、ということになるのではないでしょうか。

 

このあたりが整理できてくると、最近よく聞く「アクティブラーニング」ということが何となくイメージできてきました。

 

アクティブラーニング

さて、次はアクティブラーニングについて調べていくと

 

教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称。

学修者が能動的に学修することによって、認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る。

発見学習、問題解決学習、体験学習、調査学習等が含まれるが、教室内でのグループ・ディスカッション、ディベート、グループ・ワーク等も有効なアクティブ・ラーニングの方法である。

引用:文部科学省 用語集より

 

おぉう、「学習」ではなく、「学修」という言葉が使われています。再び漢字を整理してみると

学習は「習い学ぶ」

学修は「学び修める(身につける)こと」

 

サラ~っと見ていくと学習はその場での出来事で、学修は学び始めてから身につけるまでの流れのことのようで、学修(の中に学習)というイメージで良さそうです。

 

 

これを踏まえて整理していくと

最初は教育者が主体となって学習者に対して「教育」を行い、学習者がわかり始めた段階から主体が「学修者」となって学習に取り組む(アクティブラーニング)ようにし、その取り組みを教育者がマネジメントしながら支援していく、ということになるのではないでしょうか。

 

 

では動物園でどうする?

 ふぅ、なかなかしんどくなってきました。ムズカシイデスネ。

 

では、動物園で行う環境教育ではどのように考えていくかを開始です。

 

まず動物園の立ち位置から整理していきます。

 

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ざっくり生涯学習という考え方から整理を始めると、生涯学習の中には社会教育、学校教育、家庭教育という大きなくくり(これに加えて企業内教育というのもあるそうです)があり、基本的にはすべてに関わってきそうですが、動物園で行う教育活動は主に

社会教育

学校教育

としての役割がありそうです。

 

社会教育としては、動物園では随分と昔から取り組まれている「サマースクール」といった飼育員体験であったり、「自然観察会」であったりするイベントが該当します。

 

学校教育としては、学校との連携で行う授業ですね。

 

最近の動物園では教育活動専属の担当者を配置して対応するような動きも出ています。

 

僕はどちらかというと社会教育として自然観察会であったり、その他のイベントを行うことが多いので、動物園の社会教育的な役割を考えていきます。

 

動物園の社会教育

環境教育分野では以前から「体験学習」や「自然体験」といったいわゆるアクティブラーニングに取り組んでいました。アクティブラーニングって新しい概念だなぁと思っていた矢先、ん、どうやらずっと昔から知って実施していたことが実はアクティブラーニングだったんだ!と最近本を読んで気づきました。

 

動物園でいえば、野生動物という格好の教材をさまざまな方法で体験してもらうことができることが動物園の最大の強みとなります。そういった強みを飼育員体験であったりするイベントで主体的に学ぶ場をつくる、また動物観察に関しても主体的に取り組んでもらう工夫を行う、といった切り口を動物園では提供することができます。

 

ガイドはどちらかというと学校の一斉授業のような形です。メリットとしては、多くの人に一定のことを伝える、というのは得意ですが、デメリットとして、一人一人の理解に関しては手が出せません。

 

そこで、ガイドで多くの方に「広く浅く」、イベントで一人一人の理解を深めるような「深く狭く」といった役割分担が必要です。それぞれの特性を理解しながら両輪で進めていきましょう。

 

そのために僕が勉強しているのが

インタープリテーション

ファシリテーション

といったスキルです。

 

これらのスキルを使いながら、動物園としての社会教育を進め、ひいては動物園で暮らしている動物たちの仲間たちにどのようにポジティブな影響を与えていけるか?

 

少し壮大ですが、飼育員としての挑戦です。

 

おわりに

 いや~脳みそから煙が出ているのを感じます。あまり脳みその性能が良くないので負荷がかかるとすぐに煙が出てしまいます。

 

しかし!人と自然が共に暮らせる未来、つまり動物園の動物たちの仲間たちが豊かに暮らしている未来を作るために動物園としてどのようなことができるのか?この部分から逃げるわけにはいきません。脳みそから煙が出る程度のことは全く問題ないのです。

 

まだまだできるし、まだまだやらなければいけないことは山ほどあります。動物飼育で動物を幸せにしながら、環境教育で来園者の方々にどのようなことができ、環境保全活動で動物園の存在理由をより大きくできるか。挑戦はまだまだ続きます。

 

次回は、インタープリテーションについて記してみたいと思います。